パス度ってどれくらい?

パス度ってどれくらい?

皆様ご無沙汰しています。

最近お仕事がおそろしく詰まっていて、次から次に割り込む仕事があってまいっちゃいます。

写真の準備もままならないので「女装工学」がちっとも進みません。

パスって何?

さてさて、最近ちょっと質問をうけたので、パス度という指標についてお話してみたいと思います。

トランスジェンダーとか異性装とかで、どれくらい疑われずに行動できるかというのは重要ですが、これの曖昧な基準として「パス」という言葉が使われます。

目的の性別として行動して、疑問を持たれなければ「パス」、見破るのを「リード」といいます。一種のチャレンジで、スリル満点のゲームとみるひともいます。

SNSとか掲示板を見ていると、顔写真だけを見ながら「誰々ならパスだよね」とか噂しているのを見ることもあるのですが、パス=美人コンテストという短絡的に考えている人が結構いるのですが、これは大間違いです。野村沙知代さんみたいなおばちゃんになりきって、疑われないというのもれっきとしたパスのあり方です。

私のパス範囲

わたしがはじめて♀のほうの服で電車に乗ったときは、向かいの席の人にずいぶん観察されて、平常心を保つのに苦労した覚えがありますが、最近はだれもが携帯しか見ていないので、ちょっと有利になったかもしれません。

わたしの場合、ちゃんと女物を着ているときなら

  • 女風呂:絶対逮捕
  • 映画のレディースデー:倫理的に微妙なので試したことなし
  • 女子化粧室:フリーパス(喋らない限り)

こんな感じです。

デパートで子供がおむつにうん●をしちゃったときなどは、大行列している婦人の脇をさーっと抜けておむつ交換台に子供を運びますが、注目されたことはありません。

ただし地声で話しちゃったら大変なことになるので、♀のほうで子供のトイレに付き合うときは緊張します。どっちの格好でも容赦なく元気に「パパー、うんち出るー!」と言ってくれますから!

たとえパスできようとも、女子化粧室には好き好んで入りたいものではありません。

女子から見たパス度とは

わたしのディスコ仲間のE嬢は、とても小柄で細身で美人で憧れの人ですが、駆け出しのころ、ずっとルックスの採点をしてもらっていました。二丁目で女装さんをたくさん見ているので、あるとき、彼女に女装の出来の良しあしってどこを重視する?って聞いたことがあります。

顔?それとも服、体型?

そしたら、「バランスだね。トータルコーディネートが大事」と答えてくれました。

  • 顔だけ美人で服のセンスが悪くてはだめ。
  • 服だけきれいでも顔の気合が追い付いてなければやっぱりだめ。
  • コーディネートが年齢相応のチョイスであること、
  • そしてしぐさも年齢とキャラクターに沿ったものであること。

どこかが妙に突出してても変。その点、女装のひとたちは変なこだわりでバランスを崩す人が多んだよねーと。それを聞いてから、一点豪華主義みたいなのは考えないようになりました。

しぐさを直す

駆け出しのころは、この服の組み合わせってどう!?って毎週末のようにE嬢の採点にチャレンジしていたのですが、新しい自分の姿にすっかりハマっていたわたしは、外見だけじゃなくてしぐさのほうも結構いじりました。

自宅にいる間中、退屈な時は海外のビデオチャットでお話しながら、ウェブカメラで自分を写し続けて、あ、いまおっちゃん臭い座り方しちゃったとか、猫背出ちゃったとか、癖をみつけては姿勢を直す繰り返しです。ぱんつの防御もこれで身に付きました。

そのうち、常連客がふえて、視聴者数が外国のニューハーフを抜いてトップになっちゃったことがあって慌てました。わたし脱げないよ!?サービスないよ!?

スマイルしかないのにみんな何が楽しいのかふしぎだったのですが、今思い返すと、大股を開いて「Ahaan, ComeOoooon!」な感じのShemaleたちの中で大和撫子キャラは新鮮だったのかもしれません。

今更だけどクロスの法則とか

さて、女性らしいしぐさとして、いくつか世間に知られている法則があって、有名なのだと「クロスの法則」というのがあります。たとえば食卓で、右手のほうにあるものをとるときに左手を出す、といったルールで、要するに重心をつねに体の真ん中に保ちましょうという大原則です。

逆に、右手にあるボトルとかにに手をいっぱいに伸ばしたりすると、男子特有の筋力を背中にみなぎらせて体を支えることになって、すごい違和感を生じます。そんな場所に手を伸ばしたかったら、ちゃんと席を立ってそっと持ち上げるほうが可愛いです。

筋力に頼らない姿勢づくりと、筋力が全然なくてもバランスを崩さない上半身の運び方は、自分を上品な女子に見せるのに効き目があります。

筋力は三分の一のつもりで

ひじ掛けにひじをつく場合でも、体の力を抜いて体重をおもいきりひじかけにかけると、くたびれたおっちゃんに見えてきます。上半身の重さの8割はちゃんと背骨から腰に伝えておいて、ひじ掛けにはあまり力をかけない。そんなやせ我慢のようなものも、乙女にはちょっぴり必要です。

女性ホルモンを打ち始めたMtFの子が、料理人をやってるんだけど鍋がすごく重くなってきたと言っていました。それで、筋力ってどれくらい落ちた気がする?って聞いたら「三分の一くらいになった」と答えてくれました。

そうか、三分の一かぁ。

それ以来、重いものを持つときなどに、腕力に頼らずに、なるべく体の重心近くに荷物を寄せて、背骨の力で持ち上げるというイメージを持つようになりました。

筋力がばれないように、そもそも重すぎるものは持たないに限ります。

なのでうちのお嫁さんもわたしの筋力を女子並みと思ってしまうことがよくあって、時々家電とかを「ふんっ!」と持ち上げたりすると、「都合のいい時だけ男に戻るな!」ってよくわからない理由で怒られることがあります。

実践してみると思いがけないことに

そんな筋力控えめの体術を練習していた、ある日のこと。

東京駅で長距離列車に乗ろうとしていたわたしは、階段で女子らしくうんしょ、うんしょとそんなに重くないトランクを引っ張り上げていました。そうしたら、あと5段くらいのところでサラリーマンのおじさんがささっと寄ってきて、トランクをひょいっと持ち上げて階段のてっぺんに置いてくれたのです。

まあ、なんて優しいおじさんでしょう。声は出すとがっかりされるかもしれないので、にっこり笑ってお辞儀したら、その人もはにかんだような笑みをうかべて去っていきました。

……演技の練習だったのに、本気にされちゃった。

おじさんの善意にちょっと悪い気がしちゃいました。

あと、わたしとおっちゃんの身長がほとんど同じだったのに、荷物の重さで不自然さを疑われなかったかなーとか、その時はちょっと心配でもありました。

これも「パス」の一種なのでしょう。ちょっぴり恥ずかしかったけれど、自信がすこしついた出来事でもありました。

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トランスジェンダーで会社員でアラフォーで身分上は男子です。 好きなことは踊ることとお絵かきと読書。 いまは嫁と娘が居ます。 2012年の東京レインボープライドを主催していました。

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