プライドパレードを思い出す(2) パレード?ふざけんじゃないわよ、とトランスの古参は言った
皆様こんにちは。プライドパレードの思い出話の2回目です。
2008年前後って女装関連のSNSとかチャットが結構栄えていて、桜花ちゃんが建てた小さいSNSの”TG-Group”とか、あちこちで女装の知り合いが増えていくのにわたしは夢中になっていました。
東京プライドのイベントの告知を見たばかりのある夜、チャットルームでお話した人はニューハーフの音楽家のM姉さん。Skypeでときどきおしゃべりしていました。
東京プライドフェスティバルってイベントがあるんですって。知ってました?と世間話を振ったわたしに返ってきたのは、思いがけない激しい感情でした。
「東京プライド?まだあったんだ。LGBTなんてふざけんじゃないわよ、という感じかな。」
いきなりdisられています。何事でしょう。
彼女いわく、東京の過去のパレードの歴史はゲイの都合だけで動いてきていて、かろうじてビアン(レズビアン)も同乗しているけれど、バイセクシャルやトランスジェンダーなんて全然考慮した内容になっていない。ゲイパレードと呼ぶならまだ許せるけれど、LGBT全部ありとうたっておいて、私達トランスジェンダーは添え物扱いだよ。こんな偽善に加担するなんて冗談じゃないわ、昔東京プライドの事務所に怒鳴り込んだことだってあるんだよ。とか。
ほかにも、東京プライドのイベントの名物のブラスバンドイベントの関係者にも音楽人として許せないことがあるとか。これはちょっと門外漢のわたしには事情がわかりかねますが。
どうしましょう。プライドパレード、憎まれています。こんなにウケが悪いとは思いませんでした。
(その後、主催する立場になってみると、パレードを推進する最大の障害は反ゲイでもネオナチでも石原都知事でもなんでもなく、解消されないままになってきた過去の当事者のしがらみ、歴史であることがわかるようになりました。推進エネルギーのうち6割ほどを過去の因縁のケアに費やしたような気がします。)
「まあ、行ってよく見てくるといいわ。面白いことがあったら教えてね」
そういってMさんは送り出してくれたのでした。
パレードって虹色に輝くものかと思ったら、いきなり不吉な情報からスタートしてしまいました。
このイベントは何か訳ありのようです。
全然ネット上に事情が載っていない昨年パレードが中止に至った顛末とか、謎がいっぱいあるけれど、何が待つのでしょう。
この出会いがあったために、それからのわたしはパレードの話を聞くときに、表向きの話と現実とのギャップについて注意深く観察するようになったのでした。
(続く)
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