はじまりの日(5) わたしも着ていいんだ
より満足できる自分の姿。
そっちに行きたいとは思っても、ゴールのイメージが全然わかりません。
もしわたしが女の子だったとしたら。
イラストならいくらでもイメージがわいてきて作品にできるのですが、生身の自分については、女の子と一緒に尾道の階段から落ちるとか手術でもしない限り、女に化けることなんて、あるわけがありません。
そんな風に思っていた時期がわたしにもありました。
女装との遭遇
ところがそんなある日、女装している同人作家さんをイベントで見かけました。じつにうまく仕上げていて、男の証拠を探しても全く隙がありません。驚きました。
続いて、saraさんという女装子さん(hiromi@21さん)のホームページを見て、美少女の涼しげな眼差しの力に息をのみました。
出来る、出来ないじゃなくて、ここまで美人になれるんだ。
それにしてもsaraさんって美少年。わたしには遠い世界です。
キミも女の子の格好って似合うんじゃないかな
ここまでは、まだ他人事です。
あけて3月頃、お友達の美女K嬢が、アキバの街角で巫女装束の男の子を見ながら、ふともらしました。
「葛城くんも、女の子の格好って似合うんじゃないかな。
この顔立ちなら、きっとメイクしたら映えると思うわ。」
不意を突かれました。
この人からそんな言葉を聞くとは、まったく思いませんでした。でも、ファッションに強い彼女は本気で言っているようです。
あはは。ムリにきまってますよーとか言いつつ、彼女の知らないところで激しく心が揺さぶられました。
そして、どこかの女装サロンの記念写真集がとどめを刺しました。
そこには輝くストッキングで勇ましい足を飾った中年紳士たちの姿がありました。
こ、この悪趣味な衣装と仕上がりは一体。。店員もお客さんも、ゴール設定の段階からあさっての方を向いています。でもこの楽しそうな顔はなに?
お店の中にいる限りは文句を言う人もいないんだし、わたしだってどんなものを着ても許される、そうじゃない?
それからスキンケアなどの準備をはじめて3ヶ月あまり、通販のニッセンから下着や服を買い集めて、かづきれいこさんの本を頼りに100円のメイクを塗って、ドンキホーテでラパンドアールのウィッグを買って。
一通りファンデを塗り終わって、そこに、ラパンドアールの赤系を混ぜた混色のブラウンのシャギーをかぶります。
ストレートの長い前髪が眼をばさっとかくして、それを横に分けたとき、「誰、これ」とどきっとしました。
ナルシストの誕生です
写真が当時の出来上がりです。問題はいっぱい。ニッセンで3Lのブラウスを買ったら、脇が余って余ってどうにもならず、手で後ろに引っ張っています。ほかにも、スカートもサイズがあってないし。
いろいろ問題がありますが、案外うまくいったようです。
とりあえず、道具がこれだけ揃えばデビューできそうです。
そして、Mixiを見たら、よさそうなお店の案内がでていました。
おかまバーに入門?
西日暮里にあったオカマバー「ゆきの花」でイベント告知がでていたのです。
「土曜日の日中は女装サービスデー、初心者指導もOK」
6月末に、思い切ってこのお店の扉を叩いたのでした。
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