E嬢とディスコで稽古
レディスファッションを着るようになって1年経った頃は、毎週のようにディスコでE嬢「この格好ならどう!?」って勝負を挑んでいましたっけ。
E嬢のファッション感覚は鋭くて、おかしいとかいいとか迷わず言ってくれるので、彼女の採点とアドバイスをたよりにスタイルを決めていたのです。でもE嬢やそのお友達にいわせると、もっと脚を出してとか言われて、どんどん薄着になっていってしまいます。
衣装にしても、メイクにしても、わたしが本当にそこまでやっていいのかって怖くなるのですが、でも彼女は人を担いだりしないので信じて挑戦していきます。もともと、清楚なお姉さんでいくつもりだったのですが、彼女たちは、ひときわ背が高くて細身のわたしに、あまりひらひらしない、スポーティーなルックを求めてきました。脚、おなか、腕をもっとどんどん出すように、欠点を隠そうとする自信のなさがアンバランスで見苦しいから、と。
踊りも思った通りにリズムが取れるようになって、背筋も通って歩き方も変わってきました。ずるずる歩いていたのが、ひざが伸びるようになって、くるくる回るのもブレがなくなってきました。
もっときれいに踊りたい、でも自信がないからあまり観察しないでほしい。そう思っていました。でも、どうも周りの反応がおかしいのです。
マダムたちがじろじろ見てくるのは、まあ無遠慮なひとたちだから視線を気にしないようにしていました。どこかおかしいかなー、それとも女装を見慣れていないのかなーとか思っていました。
でも、女の子がダンスフロアの真ん中で立ち止まって、わたしが踊るのを呆けるように見ていたり。ねえねえ、そこ邪魔になっちゃうよ。
別の女の子は真正面でモーションをコピーしようとしていたり。これは怖かったです。わたしって、小学校の頃はいじめられていたので、自分の仕草の真似を人がやるというのは、また笑われるんだと警戒するんです。
しまいには、端っこのほうで踊っていたら、毎晩ダンスというか近代舞踊で80’sを踊っている常連の白人のお兄さんから「モットマンナカニデナサイ、アナタノバショハココ」といってフロアの真ん中に引きずり出されてしまいました。
わたしっていったいどう見られているのでしょう。
ずっと怖くて試せなかったのですが、デジカメの動画で自分の動き方を撮ってみることにしたのでした。(つづく)
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