突撃!おかまバー「ゆきの花」(後編)
皆様こんばんは。
今日は「突撃!オカマバー」の続きです。
7月のある土曜日の昼下がり、わたしはトランク一杯に衣装と靴と化粧品を詰め込んで西日暮里にたどりつきました。
ラブホテルとパチンコ屋に挟まれた細いビルに、何十ものお店の看板がかかっています。
エレベーターで上がってみると、「会員制」って札がドアにかかっています。
真夏の日差しの下で、西日暮里の街は寝静まったかのようです。本当にここでいいのかな。
ぶあつい扉をノックしてみると、筋肉質なお兄さんが出迎えてくれました。
この人がこのお店のママだそうです。Mixiのプロフィールと全然違う!?
お化け屋敷にようこそ
ママいわく、このお店はお化け屋敷なのだそうです。男から女に化ける魑魅魍魎の巣窟だと。
名前とか女装歴とか夜のお店の経験とか一通り聞かれて。
男の子の格好で「かよって言います」って自己紹介するのは、とても変な感覚です。
「よし、かよ塗ってあげる。道具出しなさい」
「こ、こんなのでいいですか?」
「んー。今回はあたしの道具で塗ってあげる。
かよはメイク向きの顔立ちしてるわ、腕が鳴るわ」
ママの見立てでは、わたしの顔の特徴は山口百恵に近いラインだといいます。
「よし、そこに座って!背筋のばして!動くんじゃないよ」
ママのスイッチが入りました。ここのお店の女装術はスパルタ式です。
ほっぺたの上をひんやりしたクリームとあったかい手が往復します
このママの化粧の流儀は、わたしが予習していたものとずいぶん違いました。
このママは舞台上がりで、地肌がどうこうという女性の化粧と違って、、道具も「ファンデーション」というところを「ドーラン」と言ったりします。顔を下地色で徹底的に塗りつぶしてそこにパウダーで顔を描いていきます。
「眼ぇ塗るわよ、目を開いて斜め下に視線を据えて!乾くまで5分まばたき禁止!」
「は、はいっ」
そんなわけで、できました。
ママも満足の仕上がりです。
そのまま、お店にあった衣装をとっかえひっかえして、ショータイム用の照明をたいて写真を撮ってもらって。
コスプレ三昧
黒いドレスに、フレンチメイド、ウエディングドレス、えとせとら、えとせとら。
なにぶんにも背が高いので、いくつか体が入らなくてあきらめた衣装もありましたが、案外肩のない衣装ならサイズがきつくても入らなくもないものですね。
深呼吸したら北斗の拳みたいに服がちぎれ飛びそうなので、そーっと、そーっと動きます。
夜の営業時間が始まるぎりぎりまで楽しませていただいたのでした。
今回を振り返るに。
最初に用意したニッセンの某ブラウスは、風通しがどうしようもなく悪くて、真夏にはとても使えません。来週までに総取り替えすることにしました。もっと夏向きに、リゾート風味で揃えて、ママに新しい答えを見せるのです。
ロケットに火がついたように、女装の夏がスタートしたのでした。
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