プライドパレードを思い出す(7) 第10回東京プライドパレード(2010)
皆様こんにちは。
なんとか2012年まで話をもっていきたいので、2010年のおさらいです。
第10回東京プライドパレード
2010年、また東京プライドからボランティアスタッフの募集がかかりました。こんどはステージイベントではなく、念願のパレード本番です。
昨年に引き続き、今年も募金部門に割り当てになり、部門長さんと会ったところ、募金チームを3チームに分けたうち1チーム約10名のリーダーをお願いしたいという依頼を受けたのでした。
もう一人のリーダーになったのはヨシさんで、なんとわたしも彼も消防団をやっているという奇縁で結ばれて、2012年には彼がパレードの裏のリーダーとして二人でタッグを組むことになります。
さて当日。7時ごろに設営で代々木公園に集合します。当時のパレードは、レンタルのテントを自分たちで張ったりしていました。いまは設営も業者さんにお任せしているそうですね。あの数のテントをスタッフが張るのはもう無理なのでしょう。
さて、ブース予定地に集合すると部門長さんが青い顔をしています。当日欠席のスタッフが十数名出ていてチームのシフトがちゃんと組めないと。そして、風がまったく吹かない蒸し暑い曇り空のもと、休憩シフトなしの激戦が始まったのでした。
神は言っている…身ぐるみ剥がせと
朝の挨拶で一言求められたので、聖書の一節を引用してお話しさせていただきました。
エルサレムの神殿にて、イエス様は大金を寄進する富豪と、なけなしの小銭を寄進する老婦人の姿を弟子に見せ、どちらが尊いかと問いました。どちらだと思いますか?--正解は老婦人のほうです。つまり、イエス様はギリギリまで身銭を切ることを尊いとされているのです。ケツの毛一本残さずむしり取ることこそ神の道に通じるのです!
「「絶対違うだろ」」とみんながツッコミをいれてくれました。
とりあえず考えてきた方針をみんなに説明します。来場早々でテンションの上がっていない参加者にカンパを求めるのは効果が低い。午前はお出迎えに徹して、楽しんで財布のひもが緩んだ帰り道に集中的に声をかけようと。
それでもブースにはひっきりなしに人が訪れます。来場記念にさっそくカンパという気合の入った参加者さんが結構いて、もう感謝です。部門長さんが用意したステッカーを皆さんに差し上げます。
うれしかったのは、女装イベント「プロパガンダ」で宣伝したかいがあって、なじみのダンサーの女装さんがカンパに来てくれたことです。興味もってくれたんだ!と感激しました。
夕方、クロージングイベントで手のすいたスタッフが壇上から公園のみんなに挨拶します。見ると、参加者の皆さんがぞろぞろと出口に向かい始め、留守番の募金チームが完璧な布陣で募金の呼びかけを始めています。なんていいチームワークでしょう。これだから、ボランティアスタッフはきつくても楽しいのです。
夕焼け小焼けで日が暮れてテントの片付けも終わった頃、携帯のベルが鳴りました。発信者は動物病院。一昨日から具合が悪くて預けていたモルモットの子がもう危ないからすぐ来てほしいと。日中ずっと気になっていたのですが、今日がその日になってしまいました。タクシーで自宅そばの動物病院に飛ばしてもらい、女装のままで診察室に駆け込みます。
先生が、握りこぶし2つ分くらいの大きさのモルモットの肋骨をきゅっきゅっと押して、モニターがぴっぴと音をたてています。小動物は一度具合が悪くなると命が尽きるまで一瞬です。なんとか間に合いました。パレードが終わるまで待ってくれたのでしょうか。
話しかけると、弱弱しい心拍モニターが一瞬強く反応します。心臓マッサージの手をとめてもらうと、警報音が鳴り響きます。でも命が尽きるのはもうどうにもなりません。名前を呼ぶ度に、止まった心臓が小さく音を立てます。それも、やがて聞こえなくなりました。
こうして、2010年のわたしのパレードは終わったのでした。
「来年またここで会いましょう」と会場を去る人々に声をかけたわたし達が翌年ここに立つことがなく、その翌年には別団体としてパレードを開催するなんて、まだ夢にも思っていなかったのでした。
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