女装の成分分析
皆様こんにちは。
生まれた体が男性で、服は女性ものを着たい場合、もしくはその逆の場合を指す言葉って、日本語だと女装・男装で、最初に知ったときは「transvestite(トランスヴェスタイト)」という言葉でした。
Wictionary によると、ドイツ語発祥の単語だそうなのですが
https://en.wiktionary.org/wiki/transvestite
- This term is relatively formal (Latinate); cross-dresser is more casual, but whereas the verb cross-dress is common, the verb transvest is quite rare.
- Transvestite should not be confused with transgender or transsexual (see those terms for more); transvestites are often happy with their gender and have no desire to change their sex, but simply enjoy being able to cross-dress from time to time. When speaking of to or about an individual who identifies as transgender, the term transvestite is typically seen as derogatory.
- The term should also not be confused with drag queen (“male who wears women’s clothing for public performance”); that term is specifically for performers.
要するに
- これはラテン語派生の硬い言い方。日常では”cross-dresser”と言うほうが普通。
- トランスジェンダー、トランスセクシャルと混同してはいけない。トランスヴェスタイトは自分のジェンダーには満足していて性転換の欲求は持たない場合が多く、異性の服装を時々着るのを楽しんでいるにすぎない。自身がトランスジェンダーと認識している人をトランスヴェスタイト呼ばわりするのは軽蔑に当たる。
- ドラッグクイーン(国内ではドラァグという表記もメジャー)と混同してはいけない。ドラッグクイーンと呼んでよいのはパフォーマンス職業の人だけである
というような意味だそうです。
国内では、服装だけの「異性装」や職業としてのドラッグクイーン、トランスジェンダー、その他性的願望がごっちゃになって「女装」と呼ばれています。
長年の観察…うそです、1年くらいの観察のすえ、男性が異性装するケースではだいたい4つの動機の強さでタイプ分けができるのではないか、そう思うようになりました。
下のレーダーチャートが、オリジナルの「女装の動機」チャートです。
真面目な人が見たら怒り出すかもしれませんが、わたしの仮説では異性装には4大エネルギーがはたらいています。1つだけという人はあまりいなくて、大抵は2つ~3つの組み合わせで個性が成り立つように見ています。
1.きれい/かわいくなりたいから女物を着る
- この指標が強い場合:女性的なセンスの持ち主の場合ですね。きっと通販カタログなどを眺めてうっとりしているのではないでしょうか。わたしも可愛い服やアクセサリーを見るのは好きです。
それとも、美川憲一さんみたいな美意識の持ち主という場合もありかもしれません。 - この指標が弱い場合:おしゃれと関係なく女物の服を着たいという場合は、きっとお祭り騒ぎをやっているか、やらしいことを考えているかのどっちかじゃないかと思います。
ここで注意なのは、女物のおしゃれが好きだからといってその人の自覚が女性とは限らないところです。
2. 自分は男性ではないから女物を着る
- この指標が強い場合:自分は男性ではないというアイデンティティを持つトランスジェンダー
この場合は女装コミュニティは有害になる気がします。トランスジェンダーのコミュニティを訪れるのがよいでしょう。
- この指標が弱い場合
いわゆる「女装趣味」という場合とかはこっちですね。
あとはパフォーマンスとしてやっている場合などもこっちです。
一時的に男性というストレスに満ちた立場から逃避したい場合というのもあると思います。
でもこれはちょっと趣旨が違って、4. の「非日常」のほうに属すると考えられます。
3. 自分は男性が好き/男性とヤりたい
異性装する人が男に惚れるとは限りません。先入観がある人は捨てましょう。
- 男なんて関係なく自己満足で女装しているタイプ
- 女性ごっこの一環として男とヤるタイプ
- トランスジェンダーであり女の子として男に惚れるタイプ
こんな感じにみんなの性的指向はばらばらです。身の回りを見ると、ヤる目的で異性装する人はそんなに多いとは思いません。
ここで何か問題があるのかというと、あります。男性側に「トラニーチェイサー」と呼ばれる、女装やトランスジェンダーが性的に大好きな人種がいまして、こちらは相手の属性に関係なくナンパしてくるのです。女の子を目指すなら男とヤれて当然、みたいな誤った常識を押しつけてくることもあるので困ります。
4. 非日常への要求
- ただの気分転換にやってる場合
女装バーとかがありまして、ここでは若い子から中年紳士までいろんな年代が集まって、飲んで歌って盛り上がっています。セーラー服とかボディコンとか着ながら異業種交流会をしてる様はなかなか迫力があります。
しかし、わたしが出入りしてたところは暑苦しいものの変態臭さはゼロに近く、常識とかにとらわれない感性の持ち主が集まるので人間関係はとても楽しいところでした。 - パフォーマンスとしてやってる場合
演劇、コスプレをやってる場合とかですね。プロ化すると「ドラッグクイーン」という職業があります。
あとはゲイカルチャーの傍流というか、かつて男娼が存在した地域だと古典的な「オカマ」というスタイルがまだ存在しています。1.のおしゃれ路線とは一線を画しており、伝統に則ったオカマバー様式の「おもてなし」のための服装という位置づけと考えられます。 - 服や下着にフェティッシュな欲望を感じている場合
この場合化粧とかは全然興味なしで、ひたすら服でハァハァしてるようなケースです。自分にも着れた!という喜びはきっと大きいのでしょう。
海外ではもじゃもじゃの毛だらけの体にブラとパンティだけ着けてビデオチャットしてるひととか見ることがあります。この場合、化粧とかは無用のもののようです。
ひっそり楽しんでいるため、実世界で遭遇することはまずないものと思います。 - 一時的に男性の役割から逃げ出したい場合
女装絡みの妄想では「強制女装」というキーワードに人気があるようです。
一流企業の重役が女物のパンティを穿いて女王様に踏まれるとか、戯画化して描かれることがありますが、面子とか権力関係でガチガチな男性の役割に疲れ切った人にとって、「去勢ごっこ」はすごく魅力的な遊びみたいです。
80年代に出版された立花隆の「アメリカ性革命報告」だとワシントンのエリートにはこのタイプの性癖が多かったとか。
一言でいうとマゾな人ということになりますが、このタイプは書籍をもとに書いてるだけで実物にあったことはありません。
掲示板で「強制女装させてくれる女性求む」とかいう書き込みを見ることがありますが、きっとSMクラブで女王様としてお仕事をしていれば会えるのではないでしょうか。
こんな感じで、異性装している人はばらばらな方向を見ている感じがします。
異性装の掲示板とかSNSとかを見ると、この要素の濃さの違いで棲み分けが行われているように思います。
でも大規模なサイトになると、この属性の違う人達がごちゃまぜになってバトルロイヤルな様相だったりします。
これだけ「女装」のジャンルは広いので、最初に足を踏み入れたときに間違った場所から入ってしまう場合があります。悲惨なのは、トランスジェンダーの予備軍の子がハッテン場に迷い込んじゃうような場合です。また「熟女装」世代と「男の娘」世代を混ぜるのも危険ですね。
「あの人の成分はどうなってるんだろう」というのをちょっと観察すると、この世界での友達作りの役に立つのではないでしょうか。
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